シンガポール歯医者さんのコラム 「歯周病のお話し2」

全身疾患と歯周病 「歯の健康とメタボリックシンドローム」

糖尿病や高血圧などの生活習慣病は、それぞれが全く関わりなく 発症するのではなく、おなかの中の内臓脂肪が蓄積した、内蔵脂肪型 肥満が大きく関与していることが分かってきました。 このタイプの肥満がベースに存在し、高血糖、高血圧、脂質異常のうち、 いずれか2つ以上をあわせもった状態を、メタボリックシンドロームと いいます。

内臓脂肪が過剰にたまっていると、糖尿病や高血圧症、 高脂血症といった生活習慣病をいくつも発症しやすくなり、 しかも、血糖値や血圧がやや高めといった、まだ病気になる手前の段階でも、 併発することで、動脈硬化が急速に進行します。

このメタボを防ぐためにも、歯の健康は欠かすことが出来ません。 食生活を整えることは、メタボ予防の基本であり、歯の健康をなくしては、バランスのとれた食事をとることも困難になります。歯科の代表的な疾患である歯周病も、生活習慣病の一つで、糖尿病や肥満とも深い関係があるといわれています。
喫煙糖尿病歯周病を引き起こし、進行させるリスクとして知られており、糖尿病患者は非糖尿病患者に比べて、2.5倍以上歯周病の発症率が高かったという報告もあります。糖尿病になると、口の中の免疫力も低下して、歯周病菌に感染しやすくなり、歯周病が発症・進行しやすくなります。
また、歯周病菌に感染すると、菌が産生する毒素によって、血糖値を下げる働きをするインスリンの働きが悪くなり、長期間にわたって歯周病を放置していると、糖尿病の状態も悪化することが分かってきました。

また、歯周病は肥満が進むほど発症しやすいという報告もあります。その理由は、肥満の人の脂肪組織から分泌される物質によって、歯を支えている顎の骨が溶かされてしまい、歯周組織がダメージを受けるというものです。

歯周病は初めの頃は自覚症状がほとんどなく、咬んだ時に違和感や痛みを感じたり、歯がグラグラするなどの症状に気づいた時にはかなり進行していて、歯を抜かなくてはならなくなる場合があります。軽い歯グキの炎症から始まり、いわゆる歯槽膿漏という、進行した歯周病の状態になるまで、何年もの長い期間にわたって進行していきます。

 肥満対策の食事指導に、”ゆっくりよく咬んで食べること”や、”野菜から食べること”などがありますが、歯を失ってしまうと、咬む力が弱くなり、何度もよく咬むことが難しくなって、野菜をたくさん食べることができなくなったりします。歯周病を予防して健康な歯をずっと長く保ち続けることで、バランスよく食事と摂ることができ、肥満も予防し、血糖も良好にコントロールできるといったことに繋がっていきます。

いくつになっても自分の歯で咬めるようにするためには、毎日の歯みがきやバランスのいい食事が大切ですが、それだけでは不十分。 予防医学の観点からも、歯科医師のアドバイスや定期歯科健診は欠かすことのできないものなのです。気になる症状がある場合はできるだけ早く歯医者さんに相談し、そうでない場合も歯科を受診して、歯周病の状態を把握しておくことが大切です。

 

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